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世捨て人の熊野紀行 【18】 

  湯の峰温泉途中下車

小型の龍神バスが谷間の湯の峰温泉へ差し掛かると、

指先は衝動的に停止ボタンを押していたのだ。

「ピンポーン。次ぎトマリマス」

その在るがままの真に奥ゆかしくも貴重な、

1800年前に発見されたという日本最古の、

世界遺産温泉「湯の峰温泉」をやり過ごすことは出来なかった。


河原の「湯筒」でゆで卵をつくっている。

――バス停で次の便を見ると1時間後だ。


さっそく、小栗判官蘇生の「つぼ湯」へ行った。

――なに、受付はあちら。


なにしろ小栗餓鬼阿弥判官助重は、餓鬼阿弥のとんでもない姿となって、

地獄からつき帰されて来たのだが、照手姫の介護もあって、

ここ湯の峰温泉の、そこの「つぼ湯」で湯治するうちに、

すっかり直っちゃったのだから、とんでもないお風呂なのだ。


しかし「公衆浴場受付」では遠方よりいらした方が、

――「つぼ湯」はもう満員で、6時半にならないと・・・。と云われていた。


何しろ30分一組づつだから、順番は三時間後だ。

それで、やむなくそのまま公衆浴場へお邪魔した。

「含硫黄・ナトリウム・炭酸水塩素 塩化物泉」「泉温:89.6度」

――たしかに、中味が濃いい。いい湯だなあ。


そうして地元の方々に混じって、バス時間まで、
午後の温泉にどっぷりと浸かっていたのだ。


■世捨て人の熊野紀行
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