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「麦」に感謝のモルトを捧げる

――今日は文月最後の日曜日。
「文月」の語源には、稲穂が膨らむ月、
「穂含月(ほふみづき)」の意味もあるという事です。

十勝地方は秋蒔き小麦の収穫時期を迎えました。
郊外の麦畑は、黄金色に輝いています。
「麦」の種類の違いこそあれ、
日々シングルモルトウイスキーを愉しんでいる、
世捨て人といたしましては、
今年の稔りに、感謝を捧げなくては、という気持ちで麦畑へ赴きました。

モルトグラスに「Dalwhinnie」を注ぎ、
香りをたしかめて、おごそかに願いを込めて、麦の穂に浸す訳です。
『ことしも美味しいモルトが出来ますように』

――遠くスッコットランドの村々で、
また、北海道の余市で、ことしも多くのモルトが、
ポットスチルから誕生することでしょう。
永い樽熟成を経て、その大麦麦芽を、
モルトウイスキーとして味わう事が出来るのは、10年も20年も先の事です。

・・・ところで、
北海道は国産小麦のおよそ60%を生産しているそうです。
大雑把に言って、「麦」には、
【ムギご飯・麦茶】などの六条大麦。
【ビール・モルトウイスキー・焼酎】となる二条大麦。
【パン・うどん・パスタ・菓子】となる小麦。
耐寒性が強い【パンでおなじみ】のライ麦。
そして【オートミール・家畜の飼料】の燕麦。などがあります。

しかし、米・麦・トウモロコシ、そして大豆は、
基本的な穀物ですが、
その収穫量と消費の実態を、われわれは、ほとんど認識していません。
この国の食料生産と自給率の現実を、ちょっとは知るべきだと思いました。

産地から遠い都会では、
モノの出自が見えにくいのも、判ります。
それでも、実態の数字を見れば、あ然とするものがあります。

ここでは、毎日の食卓に欠かす事の出来ない、
■麦製品=パン・うどん・パスタ・ビール・お菓子などの原料。
■大豆製品=味噌・しょうゆ・納豆・豆腐などの原料。
の「食料需給表」を、大雑把ですが、以下に貼り付けます。
そしてこれは製品輸入を除く、あくまでも原材料にすぎません。
これを見れば、
受売りで、やれ「無農薬」だ。やれ「オーガニック」だ。
やれ「××産」だ。とか聞いた風なことを軽々に云えないはずです。
・・・簡単に言って、
たとえば、スーパーで売られている、
麦を使った食材のうち
90パーセントが、
大豆製品の95パーセントが輸入原料である。

世界を覆う食料問題は、いま食べている、
三度の食事の現実なのです。

・・・・・・・・・・・・・・

【麦】  国産   輸入  TOTAL 国産対比 国内消費量

昭和40   1,287   3,532   4,819   26.7         4,631
昭和45   474   4,621   5,095    9.3      5,245
昭和50   241   5,715   5,956    4.0      5,578
昭和55   583   5,564   6,147    9.5      6,054
昭和60   874   5,194   6,068   14.4      6,101
平成 5   638   5,607   6,245   10.2      6,274
平成10   570   5,674   6,244    9.1      6,224
平成15   856   5,539   6,395   13.4      6,316
平成
18   837   5,464   6,301   13.3      6,228

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【大豆】 国産   輸入  TOTAL  国産対比  国内消費量

昭和40   230   1,847   2,077     11.1      2,030
昭和45   126   3,244   3,370     3.7      3,295
昭和50   126   3,334   3,460     3.6      3,502
昭和55   174   4,401   4,575     3.8      4,386
昭和60   228   4,910   5,138     4.4      5,025
平成 5   101   5,031   5,132     2.0      4,999
平成10   158   4,751   4,909     3.2      4,896
平成15   232   5,173   5,405     4.3      5,311
平成18   229   4,042   4,271     5.4      4,354
     
          資料:農林水産省「食料需給表」より一部抜粋。

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