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■奇跡の温泉 5か条


物心ついて以来、関東以北のさまざまな地方の温泉を訪ねたものだ。
東日本の鉄道地図を眺めながら、温泉マークをひとつずつ辿っていった。
観光地の人気の温泉郷。ローカル線の一軒宿。
山里の鉱泉。そして辺境の湯治場。
訪ねた温泉は、どこも風情があって、
いつの間にか、都会より田舎が好きになっていた。

・・・時代とともに、「温泉」も、おおきく変貌を遂げたが、
「温泉」が地域の人々に親しまれていることは、今も昔も変わりない。

十勝地方にも、おおくの温泉があるが、
ふと、「すばらしい温泉」とは何だろうかと考えてみた。
「源泉掛け流し」とか、「秘湯」とか、うたい文句はどうでもよろしい。

幾つかの条件を思い浮かべて、
あそこはどうだ、ここはどうだと考えてみると、
何のことは無い。
アタリマエの姿の、本来あった「温泉」が浮かび上がってきた。

しかし、いまどきの経済効率に背を向けて、
ひっそりと佇む、この条件をクリアできる物件は、
今ではほんのわずかで、数える程しかないのである。
という事は、何よりも、人は本来あるべき姿とは、
別の姿を求めていると言う事もできる。

それゆえに、といっては、まったく逆説的だが、
これらの条件に当てはまる「奇跡の温泉宿」は、
湯守さんの情熱だけで持ちこたえている、
絶滅危惧種ともいえる、大切な、大切な、宝物なのである。


【奇跡の温泉5か条】

@加温しない。
A循環濾過しない。
B不潔でない。
Cポンプで汲み上げていない。
D外気を感じることが出来る。


 ・・・こんな、単純だけど、
 無い物ねだりな事を、記したのは3年前だ。
 しかしその後、十勝地方に残された「奇跡の温泉」も、
 連鎖するように次々と閉鎖されてしまった。

 今更のように思う。
 だから、「奇跡の温泉」だったのだ・・・。

■日々雑感 
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